広島教区創立80周年

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最終更新日:2013年3月16日

今年は、広島教区創立80周年の記念すべき年です。

1923年5月4日、中国地方の鳥取、岡山、島根、広島、山口の五県が大阪教区から独立して、広島教区が設立されました。初代教区長にはハインリヒ・デーリング司教が任命され、岡山に教区長館を置き、9月23日に着任されました。

●信仰の遺産 ~ 中国地方の教会 ~

広島教区創立以前のこの地方の宣教の歴史には、力強い神の働きと、先人たちの堅固な信仰が輝いています。

1549年に、日本に初めてキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルは1551年、山口で二ヶ月間宣教し、約五百人が受洗しました。

1597年、日本の最初の殉教者 日本26聖人は、京都から山陽道を通って長崎へ連行されました。その中の一人、ディエゴ喜斎は岡山県出身でした。キリシタン禁令、迫害、殉教の時代には、この地方でも多くの殉教者を輩出し、福者に列せられることが期待される殉教者もいます。

1867年、浦上の四番崩れが始まり、1868年、明治政府は浦上の中心的な信徒114名を、萩、津和野、福山に流配しました。1870年には、広島、岡山、松江、鳥取にも流刑、幽閉されました。

1873年、キリシタン禁制の高札が撤去され、日本の教会の新しい時代が始まりました。

今年はちょうど130周年にあたることになります。

中国地方の再宣教は、1880年、パリ外国宣教会のワスロン神父とクーザン神父によって、岡山から開始されました。

80年前、広島教区が誕生した1923年には、宣教・司牧はパリ外国宣教会からイエズス会へ移管され、定住宣教師をもつ教会は、岡山、玉島、鳥取、広島、松江、山口、萩、下関の8教会でした。現在、広島教区には41の小教区があり、約2万人の信者がいます。

広島教区が設立されてから80年間のあゆみを導かれた神に感謝し、この地方に福音の種をまかれた宣教師をはじめ、先人たちの努力の実りである信仰の遺産を継承していく決意を新たにいたしましょう。

●聖霊降臨 ~ 教会誕生 ~

今日は「聖霊降臨」の祝日です。福音宣教の主要な働き手は聖霊ご自身であることを思い起こしましょう。(パウロ六世「福音宣教」75)

イエスがヨルダン川でヨハネから洗礼を受けた時、聖霊がイエスに降りました。イエスは宣教活動を開始される前に、聖霊に導かれて荒れ野で試みを受け、霊の力に満ちてガリラヤに帰り、ナザレの会堂で神の国の福音を告げ知らせました。(参照:ルカ4・1~21)

復活したイエスは、弟子たちに息を吹きかけて「聖霊を受けなさい」(ヨハネ20・22)と語り、福音宣教の「大冒険」に派遣されました。(ヨハネ・パウロ二世「新千年期の初めに」58)

五旬祭(ペンテコステ)の日、使徒たちは聖霊に満たされて、イエス・キリストの復活の証人として活動を始めました。(参照:使徒言行録2・1~42)このように「聖霊降臨」の日は、教会の誕生の日でもあります。

教会の誕生を祝い、記念しながらこの地方に福音をのべ伝え、神の国を建設するという使命が、わたしたち広島教区に委ねられていることをより強く意識し、聖霊の力に信頼して、豊かな実を結ぶために奉仕できるよう祈り、行動いたしましょう。

●派遣 ~ 生活による「あかし」 ~

「教会は主イエスによって設立され、世界に派遣されています。すべての人に福音を告げ知らせることは、教会の構成員の使命です。キリストから委ねられた宣教使命は、ことばによってだけでなく、毎日の生活のあかしによって遂行されるものです。」(カトリック中央協議会「カトリック教会の教え」第三部第三節1、323頁)

毎日の生活の中で、イエスの生き方と福音のメッセージを実践しようと努力する時、わたしたちは神の愛の手となり、足となって、この世界に救いのわざを実現化させることができます。

今年の広島教区のテーマ「キリストのみ顔の光を輝かせて」は、まさに出会う人々にキリストの光を輝かせることであり、それは「善きサマリア人」のように、助けを必要としている人に近づき、出会う人々にいつくしみと愛を具体的に示すことです。

わたしたちは神の国の建設の道具として働いているのです。とりわけ「わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。」(マタイ25・40)というイエスのことばを実行することによって、わたしたちはイエスの使命を引き継ぎ、生活によって福音を「あかし」する宣教師になるのです。

●希望を持って

「小さな群れよ、恐れるな。あなたがたの父は喜んで神の国をくださる。」(ルカ12・32)

わたしたち広島教区は、本当に小さな群れです。力は弱く、限界もあります。しかし、イエスは「しっかりしなさい!恐れるな!」と元気づけてくださいます。

どんな困難なときにも、どんなに希望の見えないときにも、イエスはいつもわたしたちの真ん中に立っておられます。(参照:ヨハネ20・19)

「ただ、神の国を求めなさい。」(ルカ12・31)

福音宣教は、まず第一に神のみわざです。「み国が来ますように。み心が行われますように。」と心をこめて祈りましょう。

●広島教区創立80周年の今年、次のことを提案いたします。

  1. 広島教区の歴史を学び、神の計画と教会の使命について黙想し、福音宣教の方法を考える。
  2. 広島教区内の殉教地、記念聖堂などを巡礼し、信仰の遺産を継承する。
  3. 主日のミサを大切にし、派遣の祝福を受けて、毎日の生活の中で「復活の証人」として、喜びを持って生きる。
  4. ロザリオの祈りを唱え、マリアとともに、キリストの生涯を観想し、キリストの光を輝かせる。

昨年「教区大会」を開催し、広島教区はイエスのことばに応えて「沖に漕ぎ出し」ました。

わたしたちに「必要なことをご存じである」(ルカ12・30)父なる神が、これからも広島教区を導いてくださいますように。希望を持って前進しましょう。

2003年6月8日
広島教区司教 ヨゼフ 三末 篤實

『聖書 新共同訳』

(c)共同訳聖書実行委員会 Executive Committee of The Common Bible Translation

(c)日本聖書協会 Japan Bible Society , Tokyo 1987,1988

『使徒的書簡 新千年期の初めに』

教皇ヨハネ・パウロ二世 著

カトリック中央協議会 発行

『カトリック教会の教え』

新要理書編纂特別委員会 編

日本カトリック司教協議会 監修

カトリック中央協議会 発行

備考

  • 2013年3月16日 旧ホームページより転載


 

文書(ページ)情報

掲載日2013年3月16日
更新日2013年3月16日
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