「すきま風」 GAUDETE 2018年12月号(本紙第45号)

カテゴリー(記事区分): 教区取組 / 部門 / 推進本部事務局

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最終更新日:2019年2月23日

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すきま風

東アジアの平和構築のためのトレーニングキャンプを行っている国際ネットワークが下関労働教育センターを使って三日間のキャンプを行った。植民地主義のシンボル的場である下関において在日朝鮮人の人々のおかれた現実に向き合う時間だった。自分たちがどのような当事者に、どのようにしてなっていくべきなのかについて考えた。知らずに人を傷つけてしまっている自分の中の加害者性に気づくことは大事だろう。同時に、自分自身の傷を向こう側にいるひとびとにわかちあっていくという道しるべをもらった。

現政権の憲法改悪の動きに顕著にあらわされている国家主義的な思想と共に、日本全体に国家主義が高まっている。ヘイトスピーチは極端な現象であるが、現代日本の病理を表している。最近、ある機会に恵まれてから、アメリカの神学者スタンリー・ハワーワスの著作をいくつか読んでいる。彼もナショナリズムの問題に言及しているが、それに対抗するキリスト者のあり方として、「イエス・キリストの物語へ参与していく」ことを主張している。ヘイトに参加する人々の特徴は、自分自身の物語に自信を持てない、受けとめられないというところにある。だから、彼らは国家という物語にしがみつき、そうではない物語を持つ人々を排斥していく。

小倉で行われたヘイトスピーチを考えるという集会で、講演者の金迅野牧師が、

物語を持てないということは、裏を返すと、自分自身の物語を聴いてくれる人がいない、ということなのではないか、という示唆を与えてくれた。だからこそ、教会は、この時代にあって、そのような人々を非難するだけではなく、耳を傾けてあげることも必要なのではないか、という。そして、耳を傾けるという行為は、大上段に構えて、「さあ、聴いてあげよう」というものであってはならない。「私は正しい」、「私は答えを知っている」という態度では、むしろ居心地を悪くさせ、口を閉ざさせることになってしまう。耳を傾けるためには、「すきま」が必要なのだ、という。

その講演依頼、「すきま」ということを思いめぐらしている。イエス・キリストが復活の後、弟子たちの前に表れたとき、その手とわきばらには「すきま」があった。その「すきま」を通して、イエスは人々の苦しみに共感されたのである。

教皇フランシスコの「自ら傷ついてゆく教会」というのは、言葉を変えれば、「すきまを大切にする教会」ということができるかもしれない。他者との間に、聖霊の通うすきまがあること。今広島教区が大切にしようとする外国人労働者の人々を、この大切なすきまに受けとめていくこと。イエス誕生の物語も、考えてみれば、泊まる宿がなく、すきまという舞台での出来事であった。そこに神様が働いてくださるという信仰も心にすきまを開いていく行為だろう。

釜山教区 、ハプチョン訪問

釜山教区とハプチョンを訪れた報告をさせていただきます。

釜山教区では、環境問題、貧困、外国人労働者に関わる施設を訪問しました。日本の教会とは規模の違いがあり、文脈も違いますが、関わらねばならない分野に力を投入していく気概を感じましたし、そこから生み出されていく実りに、感銘を受けました。釜山教区が抱く社会へのチャレンジのビジョンと共鳴しながら日本でも、できるところからやっていくことで、それは時間をかかりながらも身を結んでいくのではないかと思います。特に、外国人労働者へのミッションに関しては、日本の教会でも最優先事項として、そこにコミットメントする司祭を投入するなど、釜山教区から学べることがあると思いました。

陝川を訪ねたことは、私個人の人生においても重要なことですが、広島教区にかかわる者としての意味ぶかさを感じました。広島で被爆し、今でも流暢に広島弁のまじる日本語を話される、洗礼を受けられたハルモニが、私たちの訪問を喜んでくださり、痛みまで含めて分かち合ってくださいました。どうしても被害者的側面から広島を語るのではなく、二重の苦しみを味わってしまったハルモニの声に耳を傾けながら、平和について語る使命が広島教区にはあるように感じます。広島教区としてつながりを作り、距離は離れていても何らかの形で寄り添っていくことが広島教区のキリストらしい在り方なのではないかと思いました。

今回行った四人のメンバーでの分かち合いでも、釜山、陝川訪問の意義を確認しました。同行してくださった朴神父さんに感謝するとともに、釜山から司祭を派遣していただきながら、姉妹教区として、もらうだけではなく、分かち合うということがどれだけできてきたのか、釜山から派遣されてきた司祭たちをどれだけ喜び、その心に耳を傾けてきたのか、ということが問われ直しているように思いました。そのような体験と分かち合いを通して、信者たちの中に、使命の再確認ができる機会になるのではないかと思います。

(中井 淳-平和の使徒推進本部副長)

聖書通読写経キャンペーン達成者

 今年度の平和の使徒推進本部宣教司牧推進事項である「聖書通読・写経キャンペーン」ですが、通読達成した方、新約聖書写経達成した方が誕生しましたのでお知らせします。

聖書通読達成者

第0001号 倉敷教会 葛島 愛子

第0002号 倉敷教会 柚木 正文

聖書写経(新約聖書)達成者

第0001号 祇園教会 西本 美矢子

第0002号 廿日市教会 重松 朱美

 皆様も聖書通読・聖書写経に取り組んでみませんか? 通読は聖書全巻、写経は新約聖書または旧約聖書並びに全巻達成されましたら、平和の使途推進本部まで、通読は通読表、写経は写経したノート等を提出してください。認定証と素敵なプレゼントを用意しています。

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掲載日2019年2月23日
更新日2019年2月23日
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