9月28日 加藤 信也 神父(祇園カトリック教会,2014年9月29日確認)
カテゴリー(記事区分): 教区取組 / 推進本部取組 / 第1の柱:平和
キーワード(索引語): ミサ説教,広島司教区内小教区,祇園教会,祈り・福音の教え・信仰教育
最終更新日:2014年9月29日
祇園カトリック教会ホームページ(ブログ)「9月28日 加藤 信也 神父」が更新されました。
説教本文
「ぶどう園に行って働きなさい」と父から言われた兄は「いやです」と返事しますが、考え直します。弟の方は、「お父さん、承知しました」と言いながら、結局ぶどう畑に行かない。
ここでイエスからの一つの質問が為されます。「この二人のうち、どちらが父親の望みどおりにしたか」。無論、兄であることは明らかです。
福音書にはいろんな人物が登場しますが、そのほとんどはユダヤ人であり、彼らはユダヤ教を信仰していました。ユダヤ教の特徴の一つは、言葉よりも行いを大切にする点にあると言えるでしょう。
さて、ここからイエスの話は方向を変えていきます。
「徴税人や娼婦たちの方が、あなたたちより先に神の国に入るだろう」。
イエスは、祭司長や長老がたちは神の国に入れない、言ったわけではありません。ユダヤの指導者たちよりも、徴税人や娼婦の方が、先に神の国に入る、と言っています。
当時、徴税人や娼婦たちは罪深い者とされ、ユダヤ人にとって最も大切な場所、神殿に入ることを許されませんでした。彼らはみんなから「罪人」と言われ、嫌われていました。おそらく彼ら自身、そんな自分たちのことを恥ずかしく感じていたでしょう。周りから蔑まれ、友のいない人生。「もう何も失うものはない」と、思っても不思議ではありません。しかし考えてみれば、何も失うものがないということは、逆に強さにも繋がっています。徴税人や娼婦たちは、何もないから、心が神に向かう、神により頼む人たちだったと言えるのかも知れません。
「信じようと思っても信じられない」という言葉を時々耳にします。人を信じるたびに裏切られる。だから誰も信じたくない。私たちの社会も、そのような傾向をますます強くしていっているようにも思われます。「信じる」と言葉では言うが何も実行しない人たちに対してイエスは、「愛されない、そんな人たちが回心の道を歩みはじめている。そのことにまなざしを向けなさい」と言っておられるのでしょう。
今日の福音朗読の箇所は、イエスの思いはどこあるのか、を教えてくれます。イエスの目から見て大切なのは、「もうだめだ」と諦めず、考えなおしたり、やり直したりしていくこと、人生の軌道修正です。そして私たちはこの人生の軌道修正を「回心」と呼びます。
神様が大切にされるのは、私たちの過去がどうだったか、ではない。過去にこんな罪を犯したからダメ、ではない。むしろ神様は過去にはこだわらない。今、そしてこれから、どのように生きようとしていますか、という点が重要なのです。
こんな言葉があります。「成人には過去があり、罪人には未来がある」。
実は、この言葉を記したその人自身、罪人としての人生を歩んだ人でした。(※注/出典はオスカーワイルドの戯曲『ウィンダミア夫人の扇』)
誰も、生きている間に聖人とされることはありません。生きているということは、まだ悪いことをする可能性があるからです。ですから、すばらしい人生を送った人が亡くなって後、列聖のための調査が始められるのです。つまり聖人とされた後には、少なくともこの地上では何もできません。一方、私たちは今、この地上にいる。罪人であってもまだ時間は残されています。それは天に冨を積むための時間であり、決して罪を重ねるためのものではありません。そして、神様の目にとまるのは、過去の大きな罪ではなく、もう一度やりなおそう、そんな諦めない心です。
今日の福音朗読は、「あなたたちはどう思うか」というイエスの言葉で始まりました。私たち一人ひとりが、その問いに答えることが待たれています。その答えとは、「言葉」ではなく「行い」による答えである、そのことも付け加えておきたいと思います。
この説教本文は
平和の使徒推進本部が祇園カトリック教会主任司祭から転載の許諾をもらっています。
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掲載日 | 2014年9月29日 |
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更新日 | 2014年9月29日 |
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推進・区分 | 第1の柱:平和 |
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