「十戒 ~第二の掟~」GAUDETE 2021年01月号(本紙第60号)

カテゴリー(記事区分): 教区取組 / 部門 / 推進本部事務局

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最終更新日:2021年1月23日

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※本稿で述べている見解は、筆者個人のものであり、筆者が属する組織を代表するものではありません。

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十戒(第二のおきて)

 前回の続き 十戒の第二のおきてについてみてみましょう。

 あなたは神の名をみだりに呼んではならない。

 「第二のおきては、第一のおきてを完成し、それをもっと力強いものにする。『あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。みだりにその名を唱える者を主は罰せずにはおかれない』(出エジプト20.7)」

 「このおきては、神の名を、ただ言葉上の問題としたり、軽々しくいってはならないというものではない。(中略)第二のおきては、民の苦しい叫びに答えるもの、民を苦しめる抑圧の種々の原因と戦い、破壊するものである。」と言われています。第二のおきてもファラオのシステムから抜け出すためのものです。

 「ファラオが民を支配し、しいたげ、搾取するために神の名を使ったように、主の名を利用するものには最悪のことが起こるだろう。」

 「共同体の中に抑圧をもちこんだり、それを正当化するために主の名を利用することは、まさに、共同体を破壊することである。共同体の罪によって引き起こされる破壊は、神自身からの罰と考えられる。」『みだりにその名を唱える者を主は罰せずにはおかれない』

 「イエスの時代に、ファリサイ人や律法学者は、神の意志や正義、あわれみ、そして愛と何も関係もない、重荷を民に負わせるのに神の名を使用した。(中略)実にイエスはこの第二のおきての真の意味、すなわち、神の名の真の意味を啓示するために来たのである。」としています。

 「イエスにおいて、神は人々に自分の内心、自分の名を告げ続けるのです。イエスは、第二のおきてに完全に従い、神の名を一度もむなしく使うことなく、かえって、『貧しい人に良きおとずれを伝え、捕らわれ人に釈放を、盲人に視力の回復を告げ、おさえつけられていた者に自由を与えた』のである。(中略)イエスは自分の解放者としての業を指摘し、(中略)伝えるよう命じた。イエスは主の名の受肉であったし、今もそうである。貧しい人たちはそれを知っている。イエスにおいて、神である主は、その民を訪れ、解放し続けている。だから、救われ、解放されることができるイエスの名を信仰者は呼ぶのである。神の名としてのイエスの名は、抑圧や破壊のためにけっして呼ばれてはならない。」

 「共同体に属するわれわれは、どのように神の名を使っているだろうか。自分の考えをほかの人々に押し付けるためか、あるいは、民の苦しい叫びの中に、生きた真の解放者としての神の顔を開花させるために使っているだろうか。」

(平和の使徒推進本部長 野中泉神父)

連載:核兵器禁止条約採択まで - 1.核兵器禁止条約とは

1.核兵器禁止条約の成立

 2017年7月7日、ニューヨーク国連総会において、核兵器を違法化する国際条約(国際規範)の最終案が採決された。条約案は賛成122カ国、反対1カ国(オランダ)、棄権1カ国(シンガポール)の賛成多数で採択した。

 カナダ在住の広島被爆者であるサーロー節子氏が採択後のスピーチで「これが核兵器の『終わりの始まり』になる・・・核兵器はこれまでも常に道徳に反するものだった。それが今やはっきり違法とされた。ともに世界を変えていこう。」(1)と語り掛けた。

 その後、同年9月20日国連本部で署名開放され、最初に批准した国はバチカン市国(ローマ教皇庁)、ガイアナ共和国、タイ王国の3カ国である。

 2020年10月24日、条約の効力発生に必要な50番目の批准国としてホンジュラス共和国が批准したことで2021年1月22日に核兵器禁止条約が発効することとなった。2021年1月6日現在、署名86カ国、批准・加入が51カ国である。

 以上の経過により核兵器が国際的に違法化された。ただ残念なのは戦争による唯一の被爆国である日本がこの条約に未署名・未批准であることだ。どの国よりも核兵器の非人道性の実相を経験した国としての日本は、核兵器が非人道的な兵器で、しかも違法な兵器となった今、国家的視点から人道的視点の人間中心へ考えを変え、まずは東アジア地域に非核兵器地帯の構築を先導する国になるよう希望する。その一歩から核なき世界を目指すべきである。

2.条約の概要

 核兵器禁止条約は、欧文名 “Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons” 外務省仮訳和名「核兵器の禁止に関する条約」(2)が正式名称である。和名が仮訳なのは、日本が未署名・未批准の条約だからだ。

 核兵器禁止条約は前文と20の条文で構成される核軍縮分野の条約である。

 前文は、その条約の趣旨が記される。この条約の場合、人道的な観点から条約を導入したこと、法的に核兵器を包括的に禁止したこと、その他の核軍縮が停滞むしろ核軍拡につながる経済的・人的資源の消費への異議をとなえていることを挙げている(3)

 条文の第1条で禁止事項、第2条で申告事項、第3条、第4条及び第5条では核兵器廃絶に向けての手続きを定め、第6条と第7条が核兵器の被害の援助や回復並びに国際的な援助や協力に関すること、第8条以降は条約運用等に関することが規定してある。

 第1条の簡単な説明は次の通りである。核兵器の開発・実験、生産・製造、保有、使用はもちろん核抑止の根幹である使用の威嚇、核の傘の下にある国からの禁止活動の奨励を含む勧誘や援助、配置、設置や配備も禁じられている。

 例えば、日本が米国へ日本の敵対国に対して「核兵器を使用するぞ」と威嚇するよう要請することは、「使用の威嚇」という禁止活動を奨励することに該当し、条約違反に該当することになる。

 よって、この核兵器禁止条約は核保有国だけでなく、核保有国の核の傘の下にある国にも影響する条約である。日本に住むわたしたちはこの条約を最大限利用すること、そして東アジアに非核兵器地帯を構築するよう働きかけ、さらに非核兵器地域を世界へ拡げていく活動を通し、核の傘や核兵器自体がいらないという意識へ世界を変えていく必要がある。

(文責:平和の使徒推進本部事務局 竹内秀晃)

参考文献等

(1) 広島女学院大学ホームページ「卒業生、サーロー節子さんによる国連「核兵器禁止条約」採択後の演説がICANよりアニメーションで配信-If You Love This Planet-」、https://www.hju.ac.jp/news/2017/12/77-httpsyoutubei9c6-qobmko-ngo-ngo-1945.php
(2) 外務省ホームページ「核兵器禁止条約」、https://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/ac_d/page23_002807.html
(3) 黒澤満「核兵器禁止条約の内容と評価」、核兵器禁止条約採択の意義と課題RECNA Policy Paper,2017-08、長崎大学核兵器廃絶研究センター、p.7
・岩沢雄司・植木俊哉・中谷和弘編集代表「国際条約集2020年版」、有斐社

推薦本

核兵器のことなど、簡単に知りたい方は下記の本をおすすめします。

核兵器禁止条約発効に関連するイベント情報

01月22日

  • 核兵器禁止条約発効
  • 映画「ヒロシマへの誓い サーロー節子とともに」(82分)、中区の八丁座で公開
  • 18:00 キャンドルメッセージ@原爆ドーム前
  • 19:00 広島の子ども、若者たちによる、条約発行を祝い、ヒロシマを継承し、行動を誓う会@原爆の子の像下

01月23日【核なき世界基金支援事業】

  • 15:00~16:30 東京・広島・長崎を結ぶ、核兵器禁止条約発効記念 全国同時イベント
オンラインイベント:広島プログラム(前半)15:20-15:50
  • 広島県知事・広島市長挨拶
  • 被爆者代表2名挨拶
  • 5名の若者による取組発表
当日映像

配信の情報についてはこちらに掲載されます。https://nuclearabolitionjpn.wordpress.com

SDGsをご存じですか?

 2015年9月25-27日、ニューヨークで国連持続可能な開発サミットが開催され、採択された文書「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に”人間、地球及び繁栄のための行動計画”として、宣言および目標をかかげられました。この目標が、ミレニアム開発目標(MDGs)の後継であり、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」です。これは世界共通の目標となるものです。

 このSDGsが発表される前の2015年5月には、ローマ教皇フランシスコが環境問題を扱う回勅「ラウダート・シ」が発表されており、くしくもカトリック教会や世界で環境について大きな関心が寄せられました。

 ここ数年、ローマ教皇やバチカンは、SDGsのターゲットを意識して、発言や取り組みをしています。例えば、2020年12月にローマ教皇フランシスコがビデオメッセージ(https://youtu.be/uZkPm76ZrS0)の中で「目標4.7」(教育環境分野)について言及しています。

 広島教区は2021年度、「社会へのチャレンジ・環境」を宣教司牧活動の主体として取り組んでいきます。教区内の皆さん、もし環境問題に取り組む宣教司牧活動項目が見つからなければ、SDGsにある17の国際目標とその下にある169の目標(ターゲット)を参考に環境への活動に取り組んでみませんか?

17の国際目標

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

※外務省ホームページ「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html 参照

2020-2022年度「社会へのチャレンジ」

「核兵器禁止条約と国家の安全保障に関するアンケート」にご協力ありがとうございます。

2021年1月18日現在、8教会から合計57件集まりました。アンケートは引き続き受け付けています。

核兵器禁止条約について96%の人が知っていました。

なお、詳しい集計結果は来月以降公表します。

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掲載日2021年1月19日
更新日2021年1月23日
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