「ええじゃないか!」GAUDETE 2019年08月号(本紙第51号)

カテゴリー(記事区分): 教区取組 / 部門 / 推進本部事務局

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最終更新日:2019年9月9日

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ええじゃないか!

回勅ラウダート・シの核芯となっている概念が“インテグラル・エコロジー”と教皇フランシスコが呼ぶものである。日本語版の訳者の吉川まみさんは、この言葉を「全人的エコロジー」と訳したかったと述べている(一般読者へのわかりやすさを考えて最終的には総合的なエコロジーと訳されている)。人間性を真に生きていくこと。そのようなエコロジーこそが、傷ついた地球を癒すために必要なのだ、というのが教皇フランシスコの言いたいことなのだ、と。その示唆によって、私も『ラウダート・シ』の勘所がわかったように思う。人間性とは何か、それを掘り下げるために、さらに教皇は使徒的書簡『喜びに喜べ』を書いたのだ。『ラウダート・シ』と『喜びに喜べ』は二つで一つなのだ。

8月の終わり、韓国のカトリックの脱原発グループと共に下北半島を旅した。六ヶ所村の核最終処理場、東通原発、大間原発をルポライターの鎌田慧先生に案内していただくという旅であった。国家と企業によって金が落とされ、原発建設反対派の運動が崩されていき、多くの人が賛成派に変わっていく。そんななかでも、40年以上その意思を負けずに闘い続けてきた人々、母親の意思を引き継いで、原発の建設地のど真ん中の所有地を決して譲ることなく、脅迫や命の危険に耐えながら自然を守り続ける人の話を聞いた。漁師たちや、海によって命を支えられていた人々。自然と共に生きている人々。その姿から人間の匂いがした。金によって目をくらませることなく、生涯を、自然を守ることに投じる彼らと、そして彼らに連帯しながら生きていく鎌田先生からは、決して華やかではないけれども微塵も人工的でない素朴な人間の匂いがする。

最終日は、仙台の市内を行進していく脱原発金曜行動に参加した。街宣車のスピーカーから女性の生き生きした張りのある声のシュプレヒコールがいい味を出している。ええじゃないかの伝統的な踊りをモチーフに、「風力発電、太陽光発電」とくると、「ええじゃないか、ええじゃないか、ええじゃなかいか」と参加者が合いの手をうちながら、繁華街を練り歩く。その元気と雰囲気の良さで、若者も、子供たちも、通行人たちが笑いながら手を振ってくれている。「自然エネルギーでみんなが笑顔で」「ええじゃないか、ええじゃないか、ええじゃないか」

「ええじゃないか。」神は自然を創造し、人間をつくり、その度ごとにご自分の作られたものを愛でながら、「ええじゃないか」(これでよい)と言った。このままのわたしで、弱さを持ちながらも、それでも愛され、ゆるされているあなたが、わたしが、ええじゃないか。この世界を、大地を、自然を、人間の思い通りにせずに、そのありのままで愛していけばええじゃないか。

『ラウダート・シ』の最後を締めくくる「被造物とともにささげる祈り」は、神のまなざしに自らのまなざしを重ねながら、わたし自身のそのままを受けとめ、自然万物を、あらゆるいのちを、「ええじゃないか」と愛し、その創造主をたたえる祈りである。驚きのまなざしで世界を眺め、神を讃えること、そこから一歩ずつ実践へと向かっていくこと。この祈りは、「そのままでよい。これでよい」と神のまなざしに重なりながら、地球を癒す神のわざへと参与していく、人間が本当に人間らしく生きていくための祈りである。教皇フランシスコが来日する。今、地球が痛んで叫んでいるこの時、聖霊が運んできてくれたようにも思う。フランシスコとともに、核のない世界、傷ついた地球の癒しを願う祈りを深めていきたい。

(平和の使徒推進本部アドバイザー 中井淳神父)

教皇フランシスコ

本名 ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ(Jorge Mario Bergoglio)
1936年12月17日 アルゼンチン共和国の首都ブエノス・アイレスで生まれる(現在82歳)
1958年03月11日(21歳) イエズス会に入会
1960年03月12日(23歳) 初誓願
1969年12月13日(32歳) 司祭に叙階(司祭叙階49年)
1973年04月22日(36歳) 終生誓願
1992年06月27日(55歳) ブエノス・アイレス大司教区補佐司教に叙階(司教叙階27年)
1997年06月03日(60歳) ブエノス・アイレス大司教区協働大司教に任命
1998年02月28日(61歳) ブエノス・アイレス大司教区大司教に着座
2001年02月21日(64歳) 聖ヨハネ・パウロ二世教皇より枢機卿に親任(枢機卿12年)
2013年03月13日(76歳) 教皇ベネディクト16世退位に伴うコンクラーベで第266代ローマ教皇に選出
2013年03月19日(76歳) ローマ教皇に着座(ローマ教皇在位6年)

世界各地へ司牧訪問、多数の回勅、使徒的勧告や使徒的書簡を発表している。

バチカンニュース(https://youtu.be/drW5pVaFwpM)では、教皇フランシスコのミサ典礼、日曜日のお告げの祈りや水曜日の一般謁見演説などのライブ中継や録画動画の配信がおこなわれている(音声はイタリア語や英語など)。

「ローマ法王」フランシスコってどんな人?

8月24日の午後、推進本部では、広島映画サークル協議会の学習会をお手伝いさせていただきました。9月8日に映画「ローマ法王になる日まで」の上映会をされるあたり、フランシスコ教皇について学びたいとのことで、世界平和記念聖堂を会場にして行われました。講師は、イエズス会神学生で広島学院中高の教諭をされている森晃太郎さんです。森さんはフランシスコ教皇がなぜ「フランシスコ」という名前を選んだのか、フランシスコ教皇の心がわかるように、と話されました。主には、①ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ(本名)の生い立ち②アルゼンチン独裁政権下での困難③アシジのフランシスコの紹介と、その生き方に倣う教皇の人柄の三点について話されました。

まとめとして、教皇の心を表す二つの話をされたことが、心に残りましたので、書きたいと思います。
一つは、よきサマリア人の話を紹介されながら、わたしたちは、レビ人や祭司のように「傍らを通り過ぎる人」と言われていることです。つまり、快適さの文化の中で、自分のことだけを考えて、他の人の叫びに無関心だということです。そうではなく、様々な対立のある社会の中で、立場にかかわらず、今目の前にいる人に関わろうとしておられる教皇。

そして、結び目を解くマリアへの信心。教皇がドイツで学んでいた時に出会った、いろいろな問題を救ってくれた絵があります。マリアの手にある絡んだ糸は様々な問題を表します。それをほどいて天使に渡しています。自分が抱えている問題をほどいてもらおうと、人々はマリアに祈るのです。糸には神の恵みが満ちていますが、それを絡ませているのは人間です。教皇は祈りを通して人々と関わり続けることで、糸がほどかれ、恵みが行き渡っていくことを望んでおられます。

わたしたち自身は毎日誰と関わって福音を伝えようとしているでしょうか。11月に来日されるフランシスコ教皇は、日本のわたしたちに会いに来てくださいます。わたしたちに訴えらえることがあると思います。それを受けて、わたしたちはどう反応し、行動していくのかが大きく問われるでしょう。

フランシスコ教皇について小教区で学びませんか?

この講演を録画し、ブルーレイとDVDにしました。ぜひ皆様の小教区で、教皇について知るために、ご利用ください。映画DVDもあります。両方セットでご覧になるとより理解が深まると思います。また、推進本部YouTubeでは講演の動画を公開しております。

アドレス:https://youtu.be/H1BU35Q2Y1Y

お問い合わせは平和の使徒推進本部まで!

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掲載日2019年9月6日
更新日2019年9月9日
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