2月8日 塩谷 恵策 神父(祇園カトリック教会,2015年2月9日確認)
カテゴリー(記事区分): 教区取組 / 推進本部取組 / 第1の柱:平和
キーワード(索引語): ミサ説教,広島司教区内小教区,祇園教会,祈り・福音の教え・信仰教育
最終更新日:2015年2月9日
祇園カトリック教会ホームページ(ブログ)「2月8日 塩谷 恵策 神父」が更新されました。
説教本文
今日の第一朗読、ヨブ記にこんな言葉がありました。
忘れないでください、私の命は風にすぎないことを。わたしの目は二度と幸いを見ないでしょう。
極度の苦しみの中にある人の言葉です。希望もなく、本当に辛い。望みを失ってしまっている。
今、私たちが住む世界も、何かこれに似ているところがあるような気がします。
とても暗い世相です。この数週間を考えてみても、善意の人を人質にし、殺してしまうという凄惨な事件が起きました。そして自国民が殺された報復として、爆撃を行う。決して許さないと言う。テロや内戦で苦しむ人たちが世界には沢山います。
日本の国内では、何の罪もない小学生が殺されるという何とも痛ましい事件が起きました。
希望を持ちにくいな、やりきれないな、という思いを抱く人も少なくないでしょう。そんな今の世の中で福音を宣教する。幸福な便りを伝える。それが神に出会い、神を信じている私たちに課せられた使命です。
第二朗読「コリントの教会への手紙」で、パウロは次のように述べています。
私が福音を告げ知らせても 、それは私の誇りにはなりません。そうせずにはいられないからです。
私たちも「そうせずにはいられない」との思いで、暗い世の中だからこそ、よい便り、喜びの教えを告げ知らせなければなりません。
では、どのように福音を述べ伝えればよいのか。一つには、希望が見えないと思われる時こそ、つよい希望を持つということ。そのために、物事の明るい面を見るように努めること。善は悪よりも強いということ信じることです。
確かに、新聞を読むといろいろな事件、事故の記事が載っています。しかし以前にも申し上げましたが、私たちは「新聞に書いていないこと」も読まなければならなりません。台湾で旅客機が川に墜落しました。痛ましい事故です。しかしあの日、台湾の事故機を除き、世界中の飛行機は、すべて無事飛行していたという事実、これは決して新聞には載らないのです。
小学5年生の男の子が突然、命を奪われました。しかし、日本中の他の小学生たちは元気に、登下校できた。これも新聞には載りません。
明るい面に目を向け、希望を持つことも大切です。残虐なテロ集団が存在する。湯川さんと後藤さんがその者たちに殺された。これは無論「暗い面」です。しかし後藤さんが戦渦に苦しむ子どもたちに暖かいまなざしを注ぎ、その子たちのことを日本の人たち、世界の人々 に命がけで伝えたこと。プロテスタントの洗礼を受けていた後藤さんが、キリスト者して、友のために命を捨てるという大きな愛を実践し、湯川さんを救おうとしたこと。そこに私たちは人間の心の輝きを見ることができます。世の中には、新聞には書いていない人間の善意、崇高な行為がいっぱいあります。陰の部分だけを見るていると、どうしても暗澹たる気分なる。湾減関係においても、知人、友人、家族の「あら」や欠点、足りないところではなく、いい面をみるようにしたいものです。
しかしながら、「明るい面を見る」と言いながらも、私たちは無力な存在です。人間の善意など圧倒してしまう悪もあります。70年前の8月6日、9日、広島・長崎の悲劇を考えると、個人の力ではどうしようもない悪も、また見えてしまいます。また、明るい面を見るのは大切ですが、暗い部分、問題点から目を背けることは無責任にもつながりかねません。
この戦後70年の節目の年、私たちは世界の平和を祈りたい。そのためにやはり私たちの力を越えた存在、争い、殺し合う世の罪を除くことのおできになる唯一の存在・キリストに祈り、お願いすることが何より大切です。「祈ることしかできない」のではありません。祈ることで全能の神を着き動かし、働いていただく。これほど心強いことはありません。
同時に私たち一人ひとりが、今日できる小さな善、愛の行いを積み重ねていくこと。利己主義、「自分さえよければ」という小さなエゴも、寄せ集まり、積もり積もればやがて原子爆弾にもなるのですから、反対に小さな善意も、積もり積もれば大きな平和、大きな幸福になっていくはずです。そのことを確信しながら、祈りを続けましょう。
この説教本文は
平和の使徒推進本部が祇園カトリック教会主任司祭から転載の許諾をもらっています。
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掲載日 | 2015年2月9日 |
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更新日 | 2015年2月9日 |
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推進・区分 | 第1の柱:平和 |
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