12月21日 加藤 信也神父(祇園カトリック教会,2014年12月27日確認)

カテゴリー(記事区分): 教区取組 / 推進本部取組 / 第1の柱:平和

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最終更新日:2014年12月27日

祇園カトリック教会ホームページ(ブログ)「12月21日 加藤 信也神父」が更新されました。

説教本文

聖書には、実にたくさんの人物が登場します。その一人一人の生き方はさまざまです。中には神に「よし」とされた人、受け入れられた人もいる。かと思えば神に背を向けた人たち、裏切った人たちも登場します。

イエスに先だって主の道を整えた洗礼者ヨハネは、聖書の登場人物の中でも特異な存在です。

ヨハネはらくだの毛衣を着、腰に革の帯を締め、いなごと野蜜を食べていた。彼はこう宣べ伝えた。「わたしよりも優れた方が、後から来られる。わたしは、かがんでその方の履物のひもを解く値打ちもない。」(マルコ1・6~7)

ヨハネの人生は実に破天荒なものでした。荒れ野で暮らし、最後はヘロデ王に首を刎ねられる。自分の信じた事は決して曲げない、そんな印象を受けます。しかし彼が、どこまで自己主張を押し通した人かと言えば、決してそうではありません。ヨハネは言います。

「わたしは、かがんでその方の履物のひもを解く値打ちもない」。

当時の社会には奴隷がいました。そして奴隷の中でも階級があったそうです。履物を脱がせる、足を洗うというのは、奴隷の中でも一番身分の低い者の役目、奴隷からも嫌われる仕事でした。「イエスの前には、自分は奴隷の値打ちもない」。自己主著どころか、自己否定に生きた人であるとも言えます。

このヨハネと対象的な生き方をした人物もいます。マリアの夫となったヨセフです。聖家族の中心にあったヨセフですが、聖書はヨセフの言葉を一言も書き残していません。寡黙に、マリアとイエスを守る役割を全うし、ヨセフは聖書から姿を消していきました。洗礼者ヨハネは動、ヨセフは静。しかし神はこの2人のどちらも受け入れられました。2人の共通点は何か。それは「私を神さまの使いやすい道具としてお使いください」と差し出したことです。

そして今日の福音にはもう一人「主の道具としてお使いください」と己を差し出す人物が登場します。マリアです。マリアは言います。

「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」

当時の女性は現代人には想像できないほど厳しい立場に置かれていました。当時、ユダヤの人たちは3つの感謝の祈を毎日、ささげていたそうです。

  1. 奴隷として生まれなかったことへの感謝
  2. 異邦人でないことへの感謝
  3. 私が女性に生まれなかったことへの感謝

当時、女性は人ではなく「物」として扱われました。結婚するまでは父親の所有物。結婚後は夫の所有物。「物」ですから、傷がつけば価値が下がります。病気や障害を持つ女性や、やもめ(持ち主のいない女)は、さらに厳しい立場に置かれます。

聖書には「誕生」の場面がいつくも登場します。有名なものでは90歳の妻、サラがイサクを身ごもる話。今日朗読された箇所に先立つ、エリザベトの妊娠。そしてマリアが聖霊によって身ごもる話。これらの物語の中心人物は、いずれも「物」と見なされ、弱い立場に置かれていた女性です。人間には力、冨、権力、強いもの、大きいものを望む傾向があります。しかしすべての人が力を手に入れられるわけではない。小さくされた人、弱くされた人、虐げられた人もたくさんいます。そして、神が目を向けるのは、そのような人たち、実はそこにこそ喜び、救いがある。不妊の女と呼ばれた人、ハンディを背負った人。そんな厳しい状況の中にある人にこそ、神は希望をお与えになる。これが信仰です。

今日の福音朗読の中で最も印象的なのは、「私は主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」というマリアのことばです。

神を受け入れる。それは別な角度から見れば、実は大変な状況を引き受けることでもありました。私生児を生む。父親は誰だかわからない。当時の社会で最も蔑まれ、差別される境遇を受け入れ、一生を過ごす。このように弱者としての日々を生きたマリアなら、人々の悲しみ、苦しみを理解できるはずだ、という思い。それこそが「マリア信仰」とまで呼ばれる崇敬を教会の中に生んでいったのだと思います。

福音書の中には、イエスに大声で叫ぶ者たちがいます。一方、マリアのように「私は主のはしためです」と静かに、しっかりと応える人もいます。ただ、やみくもに叫ぶのではなく、難しさの中にも信頼をを込めた希望の表明、それがマリアのことばだったと言えるでしょう。そのようにして自分自身を神の「使いやすい道具」としていったマリアの信仰にならうことができるよう、私たちもこのミサの中で祈りましょう。

この説教本文は

平和の使徒推進本部が祇園カトリック教会主任司祭から転載の許諾をもらっています。

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