11月30日 加藤信也 神父(祇園カトリック教会,2014年12月4日確認)
カテゴリー(記事区分): 教区取組 / 推進本部取組 / 第1の柱:平和
キーワード(索引語): ミサ説教,広島司教区内小教区,祇園教会,祈り・福音の教え・信仰教育
最終更新日:2014年12月4日
祇園カトリック教会ホームページ(ブログ)「11月30日 加藤信也 神父」が更新されました。
説教本文
今日の福音朗読箇所、マルコ福音書13章は、「小黙示録」とも言われています。長い間待ち望まれていた救いが、今、現実のものとして姿を現します。今日の福音のテーマは明らかです。それは「目を覚ましていなさい」です。短い朗読箇所の中で4回も、この言葉が繰り返されています。
イエスの公生活は次の言葉から始まりました。
「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」。
この短いメッセージを私たちに伝えるために、イエスはこの世に現れた。これがイエスの第一の目的と言ってもいいでしょう。ここでは「悔い改め」が神の国に入る条件として示されます。「あなたの人生、あなたの生き方の軌道修正をしなさい。そうすれば近づいている神のもとに帰ることができる」ということです。
すべての人を一人残らず、神の国に入れたい。無理にでもそうしたい。これがイエスの思いです。「目を覚ましていなさい」という言葉は、イエスのそんな思いの表れでもあります。
しかし私たちは、こんなことも思ったりします。
福音書には色々な話がある。門が閉められ、入りたくても入れない。宴会の話では、招く側はたくさんの人に来てほしいのに、来ない人たちがある。来た人の中でも、中に入れる人、入れない人がいる。中に入っても、ふさわしい服装をしていないからと追い出される……。「門を叩きなさい。そうすれば開かれる」と言うけれど、いくら叩いても門が開かないことだってあるではないか。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」と言う小説、おそらく皆さんご存知でしょう。小さな蜘蛛を踏み殺すのを思いとどまった、そのほんの小さな善行ゆえに、お釈迦さまは地獄で苦しむ極悪人カンダタに救いの糸を差し伸べられます。
残念ながら、聖書にはこのようなお話はありません。しかし、神さまは今もいつも、「悔い改めなさい」「目を覚ましていなさい」と私たちに呼びかけておられます。
では一体、いつまで目を覚ましていればいいのだろう、という思いも浮かんだりします。その時がいつ来るか、知っておられるのは父だけだ、私も知らない、とイエスは言われます。
私たちキリスト者が「眠り込んでしまう」とは、神の思いを忘れ、神の御手の内からすべり落ちることでしょう。しかし人はさまざまです。神に向かってまっしぐらに近づく、そんな人生もあれば、何度も道を逸れ、数えきれない改心の末にやっと神に立ち返る人もいるでしょう。また人生には「神に見捨てられた」と感じる時もあるものです。
それでも、神は私たちを見捨てない、それどころか独り子を送って救おうとさえされます。なぜそれほどまでに神は、私たち人類を愛されるのでしょう。
聖書は天地創造から始まります。創造に先立つのは混沌。ただ神だけがおられた、とあります。一人ぼっちの神は、愛の神ではあり得ません。愛の神であるためには、愛を向ける対象が必要です。だから神は天地万物を創造し、すべてを整えた後、愛が向けられる対象として人を創造されたのです。その時から、神は愛の神となりました。また神は、愛するゆえに「弱さ」を引き受けられた神でもあります(神は人となった。しかもはこの世で最も弱い幼子として世に現れた)。
待降節、幼子イエスが来られる。私たちはお迎えするために準備をします。黙っていても、何もしなくてもクリスマスはやって来るものです。しかし主の降誕を、自分自身に救いをもたらすものとして心から迎えるには準備が必要です。「洗礼を受け、ミサに預かり、クリスマスを迎える、でも私には救いは訪れない」というのであれば、ここは少し考えてみる必要がありそうです。信仰は自動販売機でありません。お金を入れたら自動的に品物(救い)が手に入るというものではないのです。私たちの信仰、そのあり方を振り返り、クリスマスを本当に救いの時とするために、今日から準備をはじめていきたいと思います。
この説教本文は
平和の使徒推進本部が祇園カトリック教会主任司祭から転載の許諾をもらっています。
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掲載日 | 2014年12月4日 |
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更新日 | 2014年12月4日 |
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推進・区分 | 第1の柱:平和 |
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